よくある質問

はかりや計量(質量)に関するよくある質問や疑問にお答えいたします。
ここでは一般的な回答となりますので、詳しいことは、協会又は山口県計量検定所にお尋ねください。

お問い合わせ TEL : 083-986-2591(山口県計量協会)
お問い合わせ TEL : 083-985-1710(山口県計量検定所)

 

目次

取引・証明について
Q1
はかりについて
Q2〜Q7
定期検査について
Q8〜Q15

量目について
Q16〜Q19
検定について
Q20〜Q21
豆知識
Q22

 

 

取引・証明について

Q1   商売用のはかりや学校などで使う体重計は、取引・証明になるので検定や定期検査に合格したものでないと使用できないと聞きました。
 取引・証明とはどういう意味ですか。また、検定と定期検査とはどう違うのでしょうか。
 お尋ねのように、商売で使用するはかりや学校で生徒の体重を記録や報告をするために使用するはかりは、検定や検査を受けて合格したことを示す検定証印等(Q3回答参照)が表示されているものでなければ使用してはならないと定められています。
 また、反復・継続してはかりを使用する場合は、定期的に検査を受けて合格したものでなければ、 商売や生徒の体重測定などに使用することはできません。
 以下、商売などのことを「取引」、記録などのことを「証明」といいます。
 取引・証明の定義は、計量法という法律で次のとおり定められています。
① 取引
  「取引」とは、「有償であると無償であるとを問わず、物又は役務の給付を目的とする業務
 上の行為」と定められています。
  「物の給付」とは、売買、賃借、贈与などが該当し、「役務の給付」とは、輸送、保管、請
 負、雇用、委託加工などが該当します。
  「業務上の行為」とは、業務に関連した行為で反復継続して行うものが該当します。(1回
 限りの行為は業務上の行為に当たりません。)
  具体的な「取引」には、次のような事例があります。
 ア スーパーや小売店などが、精肉、鮮魚、惣菜などを量り売りする場合
 イ 農協や漁協が、組合員から農産物・魚介類を量り買いする場合
 ウ 農産物、海産物の加工販売者が、加工商品を量り売りする場合
 エ 茶舗、製麺所などが、商品(茶葉、麺類)を量り売りする場合
 オ 釣具店、金物店などが、商品(釣りのえさ、釘)を量り売りする場合
 カ 観光農園が、持帰り用の果物を量り売りする場合
 キ 製造販売業者が、商品(食品、肥料、農薬、セメントなど)を量り売りする場合
 ク 病院、薬局において薬の調剤を行うために計量した場合
 ケ 運送業者、宅配業者、倉庫業者、廃棄物処理業者、質屋などが、重さを量って料金を算出
   する場合
 コ スーパーなどで古紙を回収し、その重さによってポイントを付与したり、キャッシュ
   バックする場合

  ☆ 量り売りには、商品を袋や缶に詰めてその内容量を表記する場合も含まれます

② 取引
  「証明」とは、「公(おおやけ)に又は業務上他人に一定の事実が真実である旨を表明するこ
 と」と定められています。
  「公に表明する」とは、県や市などの公の機関が、ある事実を発表したり、国などの上級庁
 やほかの公の機関に対して報告や通知を行うことをいいます。
  また、「業務上表明する」とは、一定の事実が真実であることを表明することをいい、取引
 の場合と同様、反復・継続して行うものが該当します。
  具体的な「証明」には、次のような事例があります。
 ア 病院などが、健康診断書に体重を記入する場合
 イ 病院、保健所などが、母子手帳に乳幼児の体重を記入する場合
 ウ 学校、幼稚園などが、通知表などに生徒や園児の体重を記入する場合
 エ 学校、幼稚園、給食センターなどが、給食の栄養成分の量(グラム)を公の機関に報告す
   る場合
 オ 検察庁、警察署が、実地検証などに計量した結果を使用する場合
 カ 警察署が、トラックの過積載を取り締まるために計量した結果を使用する場合
③ 取引・証明に該当しない事例
 ア 料理教室で料理の材料を量る場合
 イ 製品を積み込んだトラックの過積載を防止するため、工場内で自主的に計量する場合
 ウ 医師が、診察の参考にするためにカルテに体重を記入する場合
 エ 工場の内部管理上、製品の製造・加工の工程で原材料を計量する場合

④ 検定・定期検査
  検定については、Q20及びQ21の回答を、定期検査については、Q8及びQ9の回答を
 ご参照ください。

はかりについて

Q2   スーパーのテナントとして惣菜の店をオープンすることになりました。
 早速、ホームセンターではかりを購入したのですが、スーパーの店長から「あなたが購入したはかりは、家庭用のはかりだから商売として使うことはできませんよ。」と注意されました。なぜでしょうか。
 100g300円というように商品を量り売りするような場合は、販売する側も購入する側も商品の重さを正確に量ることができるはかりでないと困ることになります。
 そこで、商売(取引)に使用するはかりは、計量法で定める基準を満たしたはかりを使用することが義務付けられています。
 あなたが購入されたはかりは、その名のとおり家庭用として使うことを前提に製造されたものなので、料理をする時に材料の重さを量ったり、郵便物を出すために封書を量ったりすることは可能(注)なのですが、商売などで使用することは禁止されています。
 なお、家庭用のはかりには、次のような表示があります。

   大きさは、直径8mm以上となっています。
(注) 郵便局で使用するはかりは、郵便物の重さを量ってお客さんから料金を徴収しているの
   で、取引に使用していることになります。したがって、これらのはかりは、家庭用のはか
   りを使用することはできません。

Q3   どのようなはかりなら取引用や証明用として使用することができますか。
 はかりの正面や側面などに次のような図形が表示されているものを使用してください。図形には次のような基準適合証印と検定証印の2種類あります。
① 基準適合証印
  経済産業大臣から指定された製造事業者(指定製造事業者)が、はかりを製造する段階や完
 成後に法令の基準を満たしているかどうかの検査を行い、その検査に合格した場合に表示する
 証印です。
 30.9
・ 証印右の数字は、平成30年9月に検査を行って合格したこと
 を表示しています。
  なお、平成31年1月1日以降は、西暦で表示されています。
  (例:2019.9)
 

  ② 検定証印
  はかりの製造事業者が、はかりの完成後に法令の基準を満たしているかどうかの検定を受け
 たとき、又は修理事業者(Q6の回答②を参照)が、はかりを修理した後に法令の基準を満た
 しているかどうかの検定を受け、その検定に合格した場合に表示する証印です。

 30.9
・ 証印右の数字は、平成30年9月に検査を行って合格したこと
 を表示しています。
  なお、平成31年1月1日以降は、西暦で表示されています。
  (例:2019.9)
・ 証印の表示方法の違いにより、一辺が1.2mmから24mmま
 での正方形となっています。
 

  (注1) ①は指定製造事業所が、②は経済産業大臣、都道府県知事、産業技術総合研究所が行
    なうことになっています。
(注2) 一般的に「検定証印」という場合は、上記の基準適合証印と検定証印の両方を指して
    います。

Q4   取引用のはかりを購入する場合の注意点を教えてください。
 一般的には、はかりの販売店やホームセンターなどで購入されることが多いと思われますが、どこで購入されても、また、どんなはかりであっても次のことに注意してください。

① 取引又は証明で使うことをはっきり伝える。
② 基準適合証印又は検定証印が表示されているかどうかを確認する。

Q5    取引用のはかりが古くなったので、知人が使用していたはかりを譲り受けることにしました。そのまま使用しても問題ありませんか。
 知人の方の住所や所有されていたはかりの検査又は検定年月(Q3及びQ14の回答参照)やひょう量(計量可能な最大量)によって、そのまま使用できる場合とできない場合があります。

 例えば、あなたがはかりを譲り受けた日が、検査又は検定年月から3年を経過しているかどうか、また、知人の方がはかりを使用されていた場所が岩国市で、あなたがはかりを使用される場所が山口市の場合など、いろいろな条件によって異なります。
 個々の具体的な事例につきましては、協会にお尋ねください。

Q6   取引用のはかりが故障しましたが、簡単に修理できる状態だったので、自分で修理しました。引き続き使用しても大丈夫でしょうか。
 修理の程度が「軽微」なものか「簡易」なものかによって、引き続き使用できる場合とできない場合があります。
① 次に掲げる軽微な修理をした場合は、引き続き使用できます。
ア 水平調整ねじ、目盛の覆い、調節脚又は下げ振り式水平器の下げ振りの補修又は取替え
イ 台はかりに係る台環又は支え鉄の補修又は取替え
② 次に掲げる簡易な修理を行う場合は、山口県計量検定所に製造又は修理の事業を届け出て
  いる業者に依頼してください。
ア 棒はかりに係る修理
  懸垂皿、皿ひも、つりかぎなどの補修又は取替えなど
イ 皿はかり又は台はかりに係る修理
  増おもりかけ、調子玉、重心玉、水平器などの補修又は取替えなど
ウ 皿はかりに係る皿、皿受け、懸垂皿のひもなどの補修又は取替えなど
エ 台はかりに係る修理
  台板、かさ板、たすく、揺れ止め機構の部品の補修又は取替えなど
オ 電気式はかりに係る修理
  印字機構の部品、料金計算機能に係る電気回路部品の取替えなど
カ 手動てんびんに係る修理
  度表、調子玉、水平器などの荷重受け部品の補修又は取替えなど
 
 したがって、取引に使用するはかりは、軽微な修理以外はご自分で修理することが可能であっても修理事業者に修理を依頼してください。

 なお、アからカに掲げている修理内容は、主なものだけを例示しているため、詳しいことは、山口県計量検定所にお尋ねください。

Q7   薬の調剤をするためのはかりを平成31年5月に2台購入しました。
 はかりの銘鈑(プレート)に基準適合証印があり、1台は平成31年1月、もう1台は平成31年4月に検査した表示がありました。
 すぐに使用しようと思いますが、問題ありませんか。
 基準適合証印(Q3の回答参照)が表示されているはかりなので、薬の調剤を行うための計量(取引)に使用することは可能です。
 なお、検定年月が平成31年3月以前のはかりと平成31年4月以降のはかりでは定期検査の免除期間が異なりますので、ご留意ください。(Q14の回答参照)

定期検査について

Q8   定期検査とはどのようなものですか。
 はかりは、一定期間使用したり、未使用でも長期間放置している間に誤差(正しくは「器差(きさ)」といいます。)が生じることがあります。例えば、商品を量り売りする場合に少しでも誤差があれば、販売店や消費者の損失となります。また、薬の調剤を行う場合に誤差があると大変なことになります。
 このため、法令で定められた基準を満たしているかどうかを定期的に検査する必要があり、取引・証明に使用するはかりは、2年に1回定期検査を受けることになっています。
 なお、取引・証明に使用しないはかり(Q1の回答④を参照)は、定期検査を受ける必要はありません。

Q9   定期検査は、いつ、どこで、誰が行うのでしょうか。
① いつ
 ア 山口県(下関市を除く。)における定期検査は、次のとおりはかりを使用している地域に
  区分して2年に1回実施しています。
 
・東部地区( 岩国市、和木町、周防大島町、柳井市、光市、上関町、田布施町、平生町、
       防府市、下松市、周南市 )

集合検査 2019年、2021年、2023年・・・・
所在検査

  ・西部地区( 山口市、阿武町、萩市、長門市、美祢市、山陽小野田市、宇部市)

集合検査 2020年、2022年、2024年・・・・
所在検査

   イ 下関市における定期検査は、次のとおり検査場所などで区分して2年に1回実施していま
  す。
 ・集合場所検査( 旧下関市地区、旧下関市地区学校関係、旧豊浦郡地区学校関係の一部 )
           ⇒ 2019年、2021年、2023年・・・・
 
 ・集合場所検査( 旧豊浦郡地区、旧豊浦郡地区学校関係の一部)
           ⇒ 2020年、2022年、2024年・・・・
 
 ・所在場所検査( 中型スケール、トラックスケール等)
           ⇒ 2020年、2022年、2024年・・・・

  ② どこで
  次の場所で受けることになります。
 ア 集合場所
   予め、定められた場所と時間にはかりを持参して検査を受けることになります。ただし、
  ひょう量(計量可能な最大量)が500㎏以下のものが対象になります。具体的には、次の
  例示のとおりです。

区域:山口市

実施日 時  間 場    所
5月8日(水)   9:00~10:00 山口市陶地域交流センター
山口市陶2595
11:00~12:00 山口市小鯖地域交流センター
山口市下小鯖2519
13:30~15:30 山口市大内地域交流センター
山口市大内矢田北1-10-11
    ☆ 定期検査の対象となるはかりをお持ちの方には、協会や市から検査の日時と場所を記載
   した文書を郵送してお知らせします。また、市町の広報誌や協会のホームページにも掲載
   してお知らせします。
 イ 所在場所
   ひょう量が500㎏を超えるはかりや土地に固定されているトラックスケールなどは、移
  動することが困難なため、そのはかりが設置されている場所で検査を行うことになります。
   また、数十台のはかりを所有している病院などについては、検査の効率化のため、病院内
  で検査を行うこともあります。この場合、検査手数料とは別に交通費、分銅の運搬費を負担
  していただくことになります。
   なお、日時については、受検者と協会が予め調整して決定します。
 ウ 持込検査
   やむを得ない理由で指定された日時や場所にはかりを持参することができなかった場合で
  、その市町の定期検査が終わったときは、次に掲げる場所にはかりを持ち込んで検査を受け
  ることになります。
   いずれの場所も、検査を行う計量士が常駐していないので、事前に協会へご連絡くださ
  い。

・山口県(下関市を除く。)の定期検査
  一般社団法人山口県計量協会(山口市鋳銭司2361-31)

・下関市の定期検査
  下関市計量検査所(下関市武久町二丁目6番1号衛生検査センター内)

  ③ 誰が
  定期検査は、原則として山口県知事又は特定市(山口県では下関市だけです。)の市長が行うことになっています。しかし、山口県内の定期検査は、山口県知事及び下関市長から定期検査機関として指定された協会が実施しています。

Q10   業務の都合で、どうしても指定された日時と場所で検査を受けることができません。どうすればよいでしょうか。
 次の中から、ご都合のよい日時や場所を選んで検査を受けてください。
 ① 同じ日のほかの場所で受ける。
 ② 同じ市(町)内のほかの日と場所で受ける。
 ③ 協会や計量検査所にはかりを持ち込んで受ける。(Q9の回答②ウを参照)

Q11   量り売りの店で使用されているはかりが、定期検査に合格したものかどうかを確認する方法はありますか。
 定期検査に合格したはかりには、次のようなシールが貼ってあります。ただし、シールがはかりの正面(購入者から見える側)に貼ってあるとは限らないし、はかりの裏面(購入者から見えない側)に貼ってある場合も多々ありますので、ご留意ください。

   シールの円内の数字は、2019年4月に検査を受けて合格したことを表しています。
      ・平成31年(2019年)1月1日以降は西暦表示されます。
      ・シールの地色:毎年変更
      ・シールの直径:34mm

Q12   定期検査で不合格となりました。どうすればよいでしょうか。
 不合格となった場合は、そのはかりの検定証印等が削除され、不合格シールが貼られます。
不合格となったはかりは、取引・証明には使用することができませんので、次の二つの方法のどちらかを選択することになります。
① 修理して再使用する
  山口県計量検定所に届け出ている製造又は修理事業者に修理を依頼してください。(Q6の
  回答参照)
  修理をした後に山口県計量検定所が行う検定を受けて合格すれば、再び取引・証明用として
  使用することができます。
 
② 新しく買い替える
  新しく買ったはかりは、通常、そのまま使用することができるので、費用の問題もあります
  が、修理より早く使用することができます。(Q4及びQ7の回答参照)
  いずれの場合も、検査台帳を管理する必要がありますので、不合格となった時にお渡しする
  「不合格はかりの処置状況報告書」を必ずご提出ください。

・シールの地色 : 黄色
・シールの文字 : 赤色
・大きさは縦65㎜ × 横50㎜
・下関市の場合は、下関市指定定期検査機関となります。

Q13   はかりの誤差がわずかであっても不合格となるのでしょうか。
 正しく量れるはかりであっても、計量する環境条件により誤差を生じることがあります。(Q22の回答②参照)
 このため、法令上も最低限の誤差(正しくは「器差(きさ)」といいます。)を認めています。ただし、許容される器差は一律ではなく、はかりの精度や「目量(めりょう)」(重さを読み取ることができる最小数値)によって異なります。
 例えば、スーパーなどで一般的に使用されている電気式はかりの精度等級がⅢ級又はM級で、目量が1gの場合は次のとおりです。
・基準となる分銅を乗せた重さが500gまで
     ⇒ 誤差(器差)が1g以内なら合格
・基準となる分銅を乗せた重さが2㎏まで
     ⇒ 誤差(器差)が2g以内なら合格
・基準となる分銅を乗せた重さが2㎏超
     ⇒ 誤差(器差)が3g以内なら合格
【参考】 はかりの精度等級は、はかりの銘鈑などに表示されています。

Q14   定期検査の免除があると聞きました。どのような場合に免除となるのでしょうか。
 ① 新しく購入した場合
   前回(2年前)の定期検査後に新しく購入したはかり(はかりの種類やひょう量に条件が
  あります。)は、今回の定期検査が免除となります。
   ただし、Q3の回答に示してある基準適合証印や検定証印の横に表示されている年月(検
  査又は検定年月)から3年を経過していないものに限られます。また、免除は1回限りです
  。
   なお、検査又は検定年月が平成31年4月以降のはかりについては、はかりの種類やひょ
  う量に関係なく、免除期間が一律1年となります。

 ② 代検査を行った場合
   代検査とは、定期検査に代えて国家資格を有する計量士が行う検査のことをいい、定期
  検査の実施期日前1年以内に行うことができます。
   代検査で合格したはかりは、定期検査が免除されます。
   代検査は、検査手数料のほかに出張費用などが加算されるため、定期検査の費用と比較
  すると割高になりますが、はかりの使用者と計量士で検査日時や場所を取り決めることが
  できるので便利です。
   なお、代検査で合格した場合のシールは、Q11の回答に示したシールとは異なり、次
  のようなシールが貼られます。

シール左上の数字は、2019年6月に検査を受けて合格したことを表しています。
      ・平成31年(2019年)1月1日以降は、西暦で表示されます。
      ・シールの地色:毎年変更
      ・シールの直径:32mm

Q15   事業を廃止しました。何か手続きが必要ですか。
 事業を廃止された場合は、検査台帳を整理する必要がありますので、協会までご連絡ください。

量目について

Q16   トレーに大根のつまを敷き詰めて刺身、しょうゆ、わさびを入れて総重量200gの商品を500円で販売しようと思っています。
 この場合、トレーを包むラップに200g500円と書いたシールを貼って販売しても問題ありませんか。
 食品の重さを表示する場合は、トレイ、ラップ、たれ、わさび、つま(大根やにんじん)、バランなどいわゆる添え物の重さ(「風袋量(ふうたいりょう)」といいます。)を除くことになっています。
 すなわち、刺身そのものの重さを表示しなければなりません。
 ご質問の場合、仮にトレイ、ラップ、たれなどの風袋量がで20gあるとすれば、180g500円と表示しなければなりません。
 どうしても、200g500円と表示したい場合は、刺身を20g追加して販売することになります。鮮魚のほか、精肉、惣菜、青果などでも同じことが言えます。
 内容量が正確で正しく表示されることは、販売者や消費者にとって大切なことなので、協会では、スーパーなどから委託を受けて定期的に検査を行っています。

Q17   法令で定められた商品を販売する者は、100g200円というような形で販売するときは、法令で定められた誤差を超えないように計量しなければならないと聞きました。
 どんな商品が定められているのか、また、許容誤差の範囲はどの程度なのか具体的に教えてください。
 流通している多くの商品のうち、全国的に販売、消費されているものや国民の消費生活に欠かせないものなど29の商品群(「特定商品」といいます。)が法令で定められています。
 特定商品には、精米、野菜、果実、魚、食肉、菓子類、飲料、調理食品などの飲食物のほか、灯油、家庭用合成洗剤、皮革などが定められています。
 特定商品を販売するときは、特定商品ごとに定められた下表の1から3の誤差(「量目公差(りょうもくこうさ)」といいます。)を超えないように注意をして計量することが求められます。
 なお、量目公差は、内容量が不足している場合に適用されますので、表示量より実際の量が多い場合は法的には問題ありません。しかし、店側のコストの問題や消費者の不信感を招くなど別の問題が生じます。
 このため、表示より極端に超過して販売している場合は、正確な計量を行うよう行政指導が行われることになります。

☆ 量目公差が認められているからといって過不足があるのは望ましくありません。あくまでも
  、正確な計量に努めることが販売店と消費者の信頼関係を築きます。
☆ 特定商品についての詳しいことは、協会又は山口県計量検定所にお尋ねください。

Q18   喫茶店を経営していますが、焙煎コーヒーを挽いたものをグラム単位で袋詰めにして販売したいと思っています。販売上の注意点があれば教えてください。
 販売上の注意点は二つあります。
 まず一つは、コーヒーが特定商品として定められていることから、量目公差を超えないように計量することになります。
 コーヒーの場合、Q17の回答にある表1が適用されます。
 したがって、例えば、100グラムを量り売りする場合の量目公差は-2グラムとなっているので、98グラム以上を袋詰めすることになります。
 Q17の回答にもありますが、法律上も正確に計量をするように求めていますし、お客様の信頼を損なわないためにも100グラムを袋詰めすることが望まれます。
 二つ目は、販売する商品が指定商品に該当するかどうかで異なります。
 指定商品とは、特定商品のうち、法令で指定された商品のことをいいますが、コーヒーの場合は、特定商品イコール指定商品となっています。
 また、菓子類のうち、ビスケット類、チョコレート、プリン、水ようかんなどが指定商品となっています。
 この指定商品を密封して販売する場合は、必ず次の事項をその容器又は包装に表記しなければなりません。
① 商品の内容量(単位の表記は、「グラム」又は「g」を用いること。)
② 商品を詰め込んだ者の住所・氏名(名称)
 ご質問の場合、袋詰めのコーヒー豆を密封して販売されるのであれば、上記①及び②を表記しなければなりません。
 
≪注意≫
 特定商品を密封し、かつ内容量を表記して販売する場合は、指定商品でなくても上記①及び②を表記しなければなりません。
 「密封」とは、その容器や包装を破ったり、これらに付した封紙を破棄しなければ、その商品の量を増減することができない状態のことをいいます。
 具体的には、次のような場合が該当します。
ア 缶詰、瓶詰、木箱詰め及び合成樹脂や紙などの容器詰めでヒートシール、のり付け、ミシン
 止めが行われているもの。
イ 刺身などのように、発砲スチロール製の載せ皿にラップ包装したもので、載せ皿とラップが
 一体となっていて容易に商品の内容量を増減できないもの。
☆ 紙袋やビニール袋の開口部を輪ゴムやセロハンテープで封をした程度の場合は、密封に該当
  しません。
☆ 特定商品及び指定商品については、細かく分類されていますので、詳しいことは、協会又は
  山口県計量検定所にお尋ねください。

Q19   スーパーで、真空パックに入った瓜のなら漬を購入しました。
 家に帰って重さを量ったところ、パックに表示されている重さと一致しましたが、瓜に結構「粕」が付いていました。瓜自体の重さと違うので過大表示ではありませんか。
 なら漬の材料となる野菜の種類によって計量方法が違ってきます。

 したがって、購入された瓜のなら漬けは、粕を除いて計量した重さを表示することになりますが、瓜に粕がいっぱい付いていて、瓜が見えないような状態ならば過大表示となる可能性があります。しかし、粕が手で軽く拭い落とされていて、瓜として客観的に認識できる状態であれば問題ないと思われます。
 
≪疑問≫
  なら漬けとかす漬けは違うのでしょうか。
 
≪回答≫
  なら漬けは、その名のとおり奈良が発祥地ですが、その起源は1300年以上前にさかのぼ
 り、長屋王(天武天皇の孫)の邸跡(平城跡)から「加須津毛瓜(かすづけうり)と記載され
 た木簡が出土しています。(出典:株式会社森奈良漬店ホームページ)
  当時は、貴族などの上流階級の食べ物だったのですが、江戸時代には広く一般に食べられる
 ようになりました。
  さて、なら漬けと粕漬けの違いですが、消費者庁の農産物漬物品質表示基準によると次のよ
 うに区分されています。
 ・農産物かす漬け類・・・農産物漬物のうち、酒かす又は酒かすに砂糖、みりん、香辛料等を
             加えたもの(以下「酒かす等」という。)に漬けたものをいう。
 ・なら漬け・・・・・・・農産物かす漬け類のうち、酒かす等を用いて漬け替えることにより
             、塩抜き又は調味したものを、仕上げかす(最終の漬けに用いる酒
             かす等をいう。)に漬けたものをいう。
  つまり、かす漬けのうち2回以上漬けたものが「なら漬け」となります。
  「なら漬け」といえば、瓜のイメージが強いのですが、上表のとおり、なす、きゅうり、だ
  いこんなども「なら漬け」となります。

検定について

Q20   Q1にある検定とは、どういう意味でしょうか。
 計量には、質量、長さ、面積、体積、時間、速さなどたくさんの対象があり、それぞれの目的に合った計量器が製作されています。
 計量法では、計量をするための器具、機械又は装置を「計量器」、取引若しくは証明における計量に使用される計量器又は主として一般消費者の生活の用に使用される計量器のうち、政令で定められたものを「特定計量器」といいます。
 特定計量器には、例えば、非自動はかり(注)、タクシーメーター、ガラス製体温計、水道メーター、ガスメーター、燃料油メーター、アネロイド型血圧計、排ガス流量計、電力量計、照度計、騒音計などが定められています。
 特定計量器を取引又は証明に使用する場合は、適正な計量の実施を確保するため、その構造や材質及び精度が定められた基準に適合して製造されているかどうかを国や都道府県が確認を行います。この確認行為を検定といいます。
 
(注) 計量法の改正(平成29年10月1日施行)が行われ、自動はかりが新たに特定計量器に追加されました。このうち、ホッパースケール、充塡用自動はかり、コンベヤスケール及び自動捕捉式はかりの4器種については、検定が必要となりました。

Q21   検定と定期検査とは違うのでしょうか。
 簡潔に言えば、検定は、取引や証明に使用されるはかりについて、メーカーが出荷する前に国や県が性能や誤差などの確認を行う行為であり、定期検査は、検定に合格して出荷されたはかりについて、取引や証明に使用されているものを定期的に誤差(器差)や性能を確認する行為です。

豆知識

Q22   計量に関係する豆知識を教えてください。
 「へー そうなんだ!」と思われるようなことをいくつかご紹介します。
① ビール、日本酒、醤油、ウスターソース、牛乳などの液体商品をガラス瓶に詰めて販売する
 場合は、その瓶の容量(体積)が適正であるとして、予めガラス瓶(底面を除いた外側の部分
 )に次のようなマークが表示されているものがあります。宴会でビールを注ぐときに瓶の下部
 を探してみてください。

   平成29年6月からは、発泡酒や第三のビールなどの
   容器にも使用することが可能になりました。

  ② 同じ物を同じはかりで量っても場所によって重さが違います。
  例えば、南極や北極で100㎏の物を赤道で量ると99.61㎏となります。同じように札幌
 市で100㎏の物を那覇市で量ると99.86㎏となります。
  また、場所のほか高さでも影響を受けます。例えば、地上で100㎏の物をスカイツリーの
 第2展望台(高さ450m)で量ると14g軽くなります。
  (出典:株式会社エー・アンド・ディの計量技術情報)
 
 ≪疑問≫
   例えば、100㎏の金を売買する場合、那覇市で99.86kg仕入れて札幌市で売れば14
  0g分の儲けが出るし、反対に札幌市で仕入れて那覇市で売れば140g分の金を上乗せしな
  いといけなくなります。実際の取引ではどのように調整しているのでしょうか。
 
 ≪回答≫
   100㎏の金はどこで量っても100kgでないと公平な取引ができずに大きな混乱が生じ
  ます。
   通常は、はかりの製造業者が地域ごとの重力差を調整した上で出荷していますので、問題
  はありません。ただし、東京で買ったはかりを山口県に持ってきて量るような場合は重さに
  差が出ます。
 
③ 「重さ」は、本当は重さではない?!
  「象の重さはどのぐらいあるのかな?」などと日常的に重さという言葉を使っていますが、
 法律上は「重さ」ではなく「質量」が正しい表現です。「質量」とはその物が元々持っている
 量のことをいい、変動することはありません。例えば、体重60㎏の人が月で体重を量ると1
 0㎏になります。
  これは、月の重力が6分の1になるからですが、その人の体重は60kgのままです。
  つまり、「質量」は不変なので60kgとなりますが、「重さ」は重力の影響を受けているた
 めに10kgとなります。
  これまでの質問や回答では、一般的に使っている「重さ」という言葉を使用してきました
 が、正しくは「質量」ということになります。
 
④ 身近にあるメーターのいろいろ
  私たちの暮らしの中では、質量、体積、長さ、温度、騒音などさまざまな計量が行われて
 います。その中から身近な計量器をご紹介します。
 ア タクシーメーター
   タクシーが一定の距離を走るとメーターに料金が加算されていきますが、そのメーターが
  正しいかどうかをチェックするため、1年に1回山口県計量検定所が検査を行っています。
 イ 水道メーター
   水道のメーターは、一般的には建物外に設置されており、蛇口まで流れる水量を量ってい
  ます。メーターは、水道局が8年に1回交換しています。
   交換されるメーターは、計量法で指定された製造事業者が法令の規格に基づいて製造され
  たものを使用しています。
 ウ 電気・ガス(都市ガス・プロパンガス)メーター
   電気・ガスのメーターも、水道のメーターと同様、計量法で指定された製造事業者が法令
  の規格に基づいて製造されたものを使用しています。
   メーターの交換は、それぞれ10年に1回となっています。
 エ 給油メーター
   給油のメーターも電気・ガスのメーターや水道のメーターと同様、計量法で指定された製
  造事業者が法令の規格に基づいて製造されたものを使用しています。
   メーターが適正かどうかについては山口県計量検定所が7年に1回検定を行っています。
⑤ 硬貨でわかる重さ
  硬貨で重さ(正しくは質量)を知ることができます。
  周囲の人に「正確に10gを量ることができる方法を知ってる?」と尋ねても知っている人は
 なかなかいないでしょうから、10円硬貨2枚と1円硬貨1枚をスッと出して「これが10gだ
 よ。」と言えば、ほんの少しだけ尊敬されるかもしれません。